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松井秀喜選手を引退に追い込んだ打撃フォームの変化

time 2013/01/02

松井秀喜選手を引退に追い込んだ打撃フォームの変化

 松井秀喜選手が引退を発表して非常に残念に思っています。現在40歳のヤンキースのラウル・イバネス選手は来シーズンは古巣のマリナーズに戻って野球をやるそうです。それを聞くと、現在38歳の松井選手もまだまだできるのにと思ってしまいます。
 松井選手の打撃フォームを過去から現在まで見ていたところ、打撃不振に陥った原因はこれなのかなと感じたことがあったので述べてみたいと思います。
 日本で調子の良かったときの打撃フォームは、大リーグに移籍してからの映像の中には見つけられませんでした。そして2012年度の打撃フォームは極端に悪く見えました。
 それでは具体的な映像(全てホームランを打ったときの映像)を見ていきましょう。
 日本での打撃フォーム
1996年、巨人入団4年目
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前足が着地してから、後ろ足を蹴り始めています。
1997年、巨人入団5年目、4試合連続本塁打を打ったときで、投手は横浜の三浦、好調時の打撃フォーム、スウィングスピードが速く、頭も動いていません。
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前足が着地する直前に後ろ足を強く蹴り始めています。また、バリー・ボンズのように、前足の爪先を浮かせ、踵を支点に体の回転を速くしています。
2003年、ヤンキース入団1年目、ヤンキーススタジアム初登場で満塁ホーマーを打つ
matsui 2003 grand slam slow1.gif
2012年タンパベイ・レイズでのホームラン、6月1日のオリオールズ戦、対戦投手はチェン・ウェイン(松井、大リーグ最後のホームラン)
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 前足を以前より高く上げ、その際すでに上体がバックネット側に少し傾いています。また、前足が着地した直後に後ろ足を強く蹴っています。
 1997年の横浜の三浦投手から打った150m弾は上体が垂直で、頭も動かず非常に良い打撃フォームで
す。
 他の打撃フォームはいずれも上体の軸が捕手側に倒れています。特に、2012年の松井選手の大リーグ最後のホームランはかなり上体が傾いています。
 
 松井選手のこの打撃フォームの違いをもたらしている原因をこれから探ってみましょう。
 いろいろなホームランバッターの打撃フォームを見ていると、ホームランを打つために必要なもの(ホームランバッターの特徴)が見えてきます。
 大リーグ通算762号、シーズン72号の大リーグ記録を持つバリー・ボンズ選手は強烈な印象を残しました。シーズン72号のホームランを打った全盛期の頃にはストライクゾーンに入ったボールはほとんどホームランにしてしまうと印象が残っています。また、四球も非常に多く、2004年にはシーズン232個の四球を選んでおり、これは依然として大リーグ記録です。
 バリー・ボンズの打撃フォーム
barry bonds.gif
barry bonds slow1.gif
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 後ろ足は踵を上げ爪先に荷重した状態で構え、ボールのタイミングに合わせて瞬時に膝の向きを正面に向けながら強く蹴っています。それと同時に前足をわずかに前にステップし、前脚は膝を少し曲げて着地し、爪先を上げ踵を支点にして体が回転しやすくしています。
 また、後ろ足が爪先を支点に、前足が踵を支点に回転するので、足の大きさ分、体をオープンにした(開いた)のと同じ効果があるので、体が回転しやすくなっています。
 前足のステップは小さく、速いボールへ対応しやすく、ボールを目線の近くまで呼び込んで打てるフォームだと言えます。
 三冠王三度の落合 博満の打撃フォーム、対戦投手は野茂英雄
ochiai vs nomo.gif 
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 前足を3塁側に開いて踏み出し、体の回転を助けています。この体の開きと、素早い体の回転で、内角のボール球を腕をたたんでホームランに出来たのは落合選手だけでした。
 通算868号のホームランを打った王貞治の打撃フォーム(1本足打法)
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 1本足打法で、上げた前足を前に踏み出して、着地する直前に後ろ足の踵を浮かせながら、膝を前に向けながら爪先で強く蹴っています。前足が着地してから、後ろ足を蹴り出してしまったら調子の悪い時の松井選手のように上体の軸がバックネット側に傾いてしまったかもしれません。
 バリー・ボンズ、落合 博満、王貞治、3人に共通しているのは体全体を素早く回転させて打っている点です。この回転を生み出しているのは両脚です。ホームランバッターは前足を前にステップしながら、前足が着地する前に、後ろ足を力強く瞬時に蹴り、着地した前脚で体が前に行くのを止めて、骨盤の素早い回転を生み出しています。そして、バットの速いスウィングスピードを生み出しています。
 したがって、前足が着地する前に後ろ足を、膝を前に向けながら強く蹴らなければいけません。前足が着地してから後ろ足を強く蹴ってしまうと腰のあたりだけ前に押され、上半身は余り動かないので、体の軸が捕手側に傾き、体の回転スピードも弱くなり、頭も動いてしまい、良い成績が残せないのではないでしょうか。
 考え方は投球と一緒です。投球の際、前足が着地する前に後ろ足を強く蹴るのと一緒です。
 アメリカで主流の投球フォームでは体の回転を主体に投げるので、ホームランバッターの打撃フォームと非常に似ています。特に1本足打法の王選手の場合はサイドスローに近い投手と体の使い方はほぼ一緒です。
 打撃も、投球も後ろ足の蹴りから始まり、下半身をうまく使える選手は良い成績を残せると言えます。
 松井選手は速いボールに対応しようとするあまり、上体が少しバックネット側に傾くようになったのかもしれません。バリー・ボンズ選手のように最初から後ろ足は爪先過重にして、さらに足の向きを最初から少し前に向け、後ろ足の蹴り出しと前足のステップを同時に行い、ステップはわずかに留めたほうが良い結果が出る気がします。
 後ろ足の向きを最初から少し前に向けるという案は上原投手の右足の使い方から来ています。蹴り出しの強さは足の向きが蹴り出す方向と平行のときが最大になるからです。
 ヤンキースには一度引退した選手がまた戻ってくるケースが多い(投手ではロジャー・クレメンス、アンディ・ぺティット等)ので、松井選手にはもう一度ヤンキースでプレイしてもらいたいですね。草野球はまだやるかもしれないと言っているのでまた野球がしたくなるかもしれません。
 

コメント

  • 最後の最後で体を反らす事によってスイングスピードが上がることの意味について。
    体を反らす事により、前脚が地面へから受ける力が大きくなり、一瞬、前脚が地面と一体となり、安定する(壁が出来る)ことにより、腰のひねり、股関節の内旋に大きな力が使える(回転トルクが大きくなる)ようになります。結果としてスイングスピードが上がるのだと思います。回転の軸は前脚から左肩にかけてになるので、慣性モーメント自体は大きくなり上体の回転抵抗は大きくなりますが、回転トルクの増大がそれを補って余りあれば、スイングスピードは上がるということでしょう。
     前脚から左肩にかけての回転の軸はストライドが大きすぎると、大きく傾き過ぎるので、アッパースイングになりすぎて重力に逆らってバットが回転するので、上体およびバットの回転はしづらくなり、エネルギー効率としては良くはないと思います。
     ショートストライドで、前足のステップはほんのわずかか、まったくしないかにして、スイングする瞬間に上体を急速に起こす(反らす)ことで下半身が地面と一体になるので、爆発的な回転トルクが生まれます。上体の軸も地面と垂直に近い(あまり上体を前に倒さない自然体がよい)ので、慣性モーメントも小さく、大きな回転トルクと小さな慣性モーメントによって、爆発的なスイングスピードが生まれるので、この方法は非常にエネルギー効率の良い打ち方だと思います。背中を反らすのはほんの少しにして、急速に行います。背中を大きく反らすと頭が大きく動くので良くありません。同時に体を一瞬急速に沈み込ませて地面に体重をかける動作を行えば、体を反らす動作による頭の上方への動きが相殺されて頭はまったく上下しないので、ベストなやりかたです。 これはテニスプレイヤーのトッププロのスイングスピードの速い人と同じ原理です。

    by 管理人 €2015年8月17日 4:40 AM

  • 軸は真っ直ぐの方がスイングスピードがあがるとのことですが、この話はコマと同じ原理なのでしょうか?
    コマは速く回っている時は軸が真っ直ぐで、回転が落ちてくると軸がブレ始める(軸が傾く)
    しかしながら古田敦也さんは最後の最後で体を反る事によってスイングスピードが上がると、松井選手を例えに出して解説されてたのですが…どちらが正しいのですか?

    by アキレス €2015年5月7日 1:03 AM

  • by アキレス €2015年5月7日 12:54 AM

  • 素振りしてみたら?蹴ったりしてないよ

    by 匿名 €2014年11月13日 1:12 PM

  • フォームうんぬんより20代前半から人工芝で長くセンターでプレーした大型スラッガーは足の故障のリスクが非常に高く、守備はもちろん、打撃においても衰えが早いという現実があるんだから仕方なかったと思いますけどね。
    例えば20代に同じく人工芝で中堅手をしていたケングリフィーを見れば分かります。同じような成長曲線で同じようにピークを迎えて同じように故障がちになり、同じような晩年でした。
    故障歴を見るとグリフィーが初めて足の故障で離脱したのは(それ以前も小さな故障はあったかもしれませんが、足の故障で登録を外れたのは)32歳の時で33歳から膝、その後は毎年何度も故障でした。
    松井は23歳で膝の軟骨を痛めてます。結局その年は手術せず全試合センターでフル出場して135試合で277刺殺でリーグの外野手最多刺殺とありえないことをしてましたが、その時点で無理があったってことでしょう。
    さらに彼の場合は35歳から向こうのスラッガーはもちろんほとんどのバッターが行ってる筋トレをほとんどしてなかったわけですから、それで引きつけて若い頃と同じ感覚で打ってたわけだから、スイング速度が安定せず(平均するとガタ落ちでしょうね。)振り遅れてのミスショットが非常に多くなったと記憶しています。
    ただ現役最後の一発はスイングが184キロでした。これは2006年以降しか統計がないのですが、渡米した日本人野手ではほかに誰も届いてない速度で彼にとっても上位のものでした。
    体調が万全ならばまだ数年は打撃は水準以上でやれたのかもしれませんね。
    筋トレが禁止でないならスイングを一定水準で安定させるようにできていたでしょうから。
    王氏のように生涯天然芝球場で走る量の少ない一塁手としてプレーしていたらあんなに足の故障に悩まされることもなく30代の打撃では大分違った結果になってたと思われます。
    いくら才能があっても足腰手首、投手で言えば肩肘、に大きな故障を抱えては満足にトレーニングすることもできず、ベストなパフォーマンスが出せません。それではプロで健康体の選手と同じようにやれることは難しいですよね。

    by 卿 €2013年8月25日 9:40 AM

  • はじめまして。
    若い頃の松井とMLBの松井ではミートポイントが明らかに違うことも考慮していただければと思います。
    小さく動くボールに対応するには引き込んでから打つ必要があったと本人も言ってましたしそれが真実でしょう。
    王・落合の映像も同じですが、日本時代は回転軸は地面に垂直に近く、踏み込んだ分軸が投手よりになっています。
    その回転軸を捕手よりになるべくキープするために頭を後ろに残して、回転軸自体を後ろに傾けたわけです。
    もし、イチローのように軸を前に移しながらでもボールにコンタクトできる能力があったのなら、日本時代と同じようなフォームで打っていたと思いますよ。
    またボンズが理想型なのは全くもって異論ありませんが、あれは類い稀なパワーがあったからこそだと思いますね。
    普通の人はあのコンパクトなフォームでは、スイングスピードの低下から始動を早める必要があり、結果ボール見る時間はたいして稼げませんし、勿論スイングスピードの低下は長打力減と等しいのでまともな成績は残せないはずです。
    「理想からは少し離れた」行為によって成績を残すのがプロフェッショナルの工夫です。
    松井を引退に追い込んだのはフォーム云々ではなく、慢性的な膝の故障に他無いかと思います。
    本人からも触れられてないのでわかりませんが、あるいは加齢に伴う視力の低下などもあったかも知れませんが…

    by TACK €2013年2月18日 5:26 PM

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