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理想的な投球フォーム

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理想的な投球フォーム

 理想的な投球フォームの条件を4つ挙げてみましょう。
①球が速い
②制球が良い
③肘、肩への負担が少なく怪我をしないで長い年月(20年以上)投げれる
④投球動作の始動からボールが手から離れるまでの時間が短い

④を加えたのは球が時速140キロ代の前半の速球でも、投球動作が速いと打者がタイミングを取りづらく、空振りすることが多いからです。具体例は大リーグでは上原投手、日本のプロ野球ではソフトバンクの摂津投手です。大リーグでは球が速いだけでは通用しないようです。いかにタイミングを外すかが必要なようです。また、制球が良いことも大事ですが、コースを狙うよりもタイミングを外す方が効果はありそうです。大リーグの打者はパワーがあるのでタイミングさえ合えばボール球でもホームランを打つからです。
大リーグで①、②、③を満たしている投手を一人挙げるとすると、1910-1920年代に活躍した右のサイドハンド投手ウォルター・ジョンソンがその代表です。
ジョンソンの成績はすばらしく、通算勝利数はサイ・ヤングの通算511勝に次ぐ、417勝で大リーグ歴代2位です。防御率は2.17でサイ・ヤングの2.63を上回っています。通算完封数は歴代1位の110でこれを破る選手はもう出てこないでしょう。球速は90マイル代中から後半だったそうです。通算三振数は3508で、これを最初に破ったのは現テキサス・レンジャース社長のノーラン・ライアンです。
制球も良く、四球率2.1/9回でした。
③の肘、肩への負担が少ない理由
野球でオーバーヘッド動作という表現があります。これは腕を頭よりも高く上げる動作をすることで、この動作は野球に限らず、バレーボール、その他のスポーツでも同様に肩に無理がかかる動作です。
そういう理由で、オーバーハンドスローは怪我をしやすいと言えます。
ソフトボールの投手が怪我をしないのは重力を利用しているから
ソフトボールではボーリングの投球同様に重力で腕が自然に落下しスウィングするのを利用できるので、肩に負担がかかりません。また、肘は伸ばしたままなので肘の故障もないようです。
したがって、ソフトボールの投球フォームは怪我をしにくいと言えます。野球のサイドハンドスローも同様です。四つ足動物の前脚の向きは体軸に対して直角なので、サイドハンドスローの腕の向きと同様なので、サイドハンドの投げ方も腕に無理がかからないのでしょう。また、サイドハンドスローの投球では肘をほとんど曲げないので肘は故障しにくいと思われます。また、野球のアンダーハンドスローも同様に故障しにくいと言えます。
野球のオーバーハンドスローではテイクバックで腕、肘を高く上げる動作が必要ですが、これが肩には大きな負担になります。腕の重さは腕の太さが人によって違いますので、差がありますが、体重の9%位あるそうです。体重70キロでは6キロ近くもあります。ボーリングの13ポンドのボールが5.9キロですから、オーバーハンドスローはいかに肩に負荷のかかる投げ方かがわかります
野球のオーバーハンドスローは重力に逆らった投げ方なので、肘が一番高く上がるまでは重力に逆らうので、腕のスウィング速度を加速するのもたいへんです。
腕を加速時にはもっと大きな負荷がかかります。
ニュートンの慣性の法則により、慣性抵抗が生じます。

慣性抵抗は質量×加速度ですので、腕を急加速すると肩は大きな負荷(トルク)がかかります。トルクは回転させる力で、てこの原理でいうところの力×距離で表わせます。
オーバーハンドでテイクバックからの投げ始めにいきなり腕を急に回転させてはいけない理由がここにあります。また、トルクは距離に比例するので、投げ始めに腕が体から離れていると肩に大きなトルクがかかります。前足を着くまで腕を振ってはいけないといわれるのはこのためです。前足を着いて、体の各部分を回転さないと肩には大きな負荷がかかります。
サイドハンドスローが怪我をしにくい理由
①腕を肩よりも上に上げないので上への負荷が少ない
②テイクバック時、腕を体の後ろへ大きく引くことができる
腕が下がった状態では、ボーリング、ソフトボールの投球で分るように腕を後ろへ大きく引くことができます。直立して腕を下げた状態から腕をできるだけ後ろへ引き、肘をのばしたまま腕を肩の真上まで上げてゆくと、肩が痛くなり、腕を上に上げるほど腕は前に出てゆきます。したがって、オーバーハンドスローでは肘を曲げ、体を横に向け手の位置をホームプレートから遠ざかるようにテイクバックしなければ投球ができません。
ウォルター・ジョンソンの投球フォームは、ボーリングのテイクバックを上体を前傾にして横に捻りながら行います。少し高く上げた腕を重力を利用しながら少し下げながら、体を回転させそのまま遠心力を利用して横に振り出す感じです。肘はわずかに曲げて水平よりも少し下がり気味で少しアンダーハンドスロー気味です。重力と遠心力を利用して投げているので腕が勝手に回っていく感じで、オーバーハンドスローとは比べようもないぐらい非常に楽な投げ方です。

ウォルター・ジョンソンの投球フォーム
walter johnson warm up.gif
野球肩、野球肘
野球の投手は肩、肘の怪我、故障をする危険性が高いのですが、投球フォーム別にみると、上から投げ下ろすオーバーハンドスローが最も故障をしやすいようです。野球に限らず、腕を肩より高く上げてスウィングする(オーバーヘッドスローイング)スポーツ、バレーボールのアタック、テニスのサーブ、バドミントン、水泳(バタフライ、クロール)などでも同様の故障をする可能性があります。
いずれにしても、オーバーヘッドスローイングをしなければ良いということです。バレーボールのアタックではボールがネットを越すためには腕を高く上げざるを得ません。野球の場合、アンダースロー、サイドスローも可能なので幸いです。オーバースローでも腕の角度を上体の軸と90度にして、上体の軸を垂直から傾ければ腕の角度は水平より上がり、スリークォーターで投げることは可能です。
肘、肩を故障しやすいオーバーヘッドスローイングとは?
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 サイドハンドスローは一般的に肩、肘に負担がかかりにくいと思いますが、肘を曲げた投げ方をすると、やはり故障につながります。

肘を先行させ前腕が遅れて出てくるレイバックの姿勢を取る投手は肘の内側側副靭帯に引っ張応力がかかり、トミー・ジョン手術(内側側副靭帯再建術)が必要になる可能性があります。
トミー・ジョン手術を受けたサイドハンド投手
元ヤクルトのイム・チャンヨン投手、最速160キロを記録した。2012年7月に手術を受けました。現在はシカゴ・カブスとマイナー契約しており、リハビリ中です。
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ヤクルトの館山昌平投手、最速153キロを投げる。2012年4月12日に2度目のトミー・ジョン手術を受けました。
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 日本のプロ野球のサイドハンド投手で大きな怪我もなく活躍した選手は肘を大きく曲げた投げ方をしていません。
斎藤雅樹投手(元巨人)、通算18年で180勝96敗、防御率2.77
1990年(2年連続で20勝達成)の映像
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鹿取義隆投手(元巨人、西武)、通算19年で91勝46敗、131セーブ、防御率2.76
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高津臣吾投手、(元ヤクルト、大リーグではシカゴ・ホワイトソックスとニューヨーク・メッツ計2年、韓国、台湾プロ野球に各1年)
ヤクルトでの通算15年で、36勝、46敗、286セーブ、防御率3.20。大リーグ通算2年で8勝6敗27セーブ、8ホールド、防御率3.38。
ホワイトソックスでの投球、球速は86マイル、時速138キロ
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潮崎哲也投手、(元西武)、通算15年で82勝、55敗、55セーブ、防御率3.16。50センチも沈むシンカーが有名で、最速150キロを記録した。
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大リーグで300勝以上挙げた投手は、大きな故障をせずに20年以上良い成績を残せた投手なので、どういうフォームで投げたのか非常に興味があります。

①ロジャー・クレメンス
通算24年で354勝184敗、防御率3.12、奪三振率8.6/9回、四球率2.9/9回
クレメンスが20三振を記録した時の投球(15三振目)
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オーバーヘッドスローイングになっていません。腕の角度は上体の軸とだいたい90度となっています。テイクバックで肘をあまり高く上げていません。テイクバックで肘が上がりすぎると、肩も上がりすぎて、肘を大きく曲げたフォームになってしまいます。また、テイクバックからすぐに力を入れて腕を振っていません。前足が着地してから腕の振りが速くなっています。
フォロースルー(ボールが手から離れて以降のフォーム)も大きく取っています。投球動作はボールが手から離れてから、大きく取り、ゆっくり減速しないと肘、肩に衝撃がきて故障につながります。
体の重心の位置も両足を結んだ直線上にあり、クレメンスは故障しにくい投球フォームをしていると言えます。

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